和名では『紫水晶』という名前の通り、紫もしくは紫に近い色をした水晶のことを指します。地球の表面を構成する一般的な鉱物、石英(せきえい)の中で結晶形が明瞭なものを水晶と呼び、その水晶の中でも一番価値が高いとされるのがこのアメジストです。古くから、紫色は高貴な色と考えられていたため珍重されてきました。
名前の語源は、ギリシャ語の「a-methy」。methy はワイン(酒)で、a は否定形を示すため「酒に酔わない」を意味しています。ヨーロッパなどでは、古くからアメジストを持っているとお酒に酔わないとされていたそうですが、それはローマやギリシャ神話などからきているからだそうです。

神話は以下の通り。
酒神バッカス(ギリシャ神話ではディオニソス)は、悪戯を戒められれた腹いせに「今から最初に出会った人間を自分の家来であるピューマに襲わせてやろう」と考えました。そこへ現れたのが、無口で信心深い美しい少女アメシスト。ピューマが一斉に襲い掛かかろうとした瞬間に、彼女の体は見る見る小さくなりあっという間に透き通った石になったそうです。
月の女神ダイアナが彼女を守るため純白の輝く水晶に変身させたからでした。バッカスは水晶になったアメシストのあまりの美しさに呆然とし、自分の罪の深さを懺悔し、その水晶にぶどう酒を注いだところ、透き通った紫水晶に生まれ変わったとされています。



たまに見かけることがある『アメトリン』という石をご存知でしょうか?
この石はアメジストとの紫色とシトリンの黄色が混ざり合った、ちょっと変わった鉱物です。実はシトリンもアメジストと同様水晶で黄色の物を指すため、和名で『黄水晶』といいます。いわゆるバイカラー(2色の色を持つ)クオーツです。ちなみにクオーツというのは水晶のことを表しています。

実は、アメジストは直射日光などの強い熱に弱く、長時間熱を与え続けると色が褪せてしまいます。
水晶が美しい紫色を発する要因は、内包されている微量の鉄分が放射線の影響で異常な原子価をもっていることなのですが、更に長い時間放射線をあてたり加熱したりしますとイオンの状態が戻っていくため、色が退色してしまうとのことです。

そのことを逆に生かし、1883年にアメシストを加熱処理することで紫色が鮮やかな黄色へと変化する現象がブラジルで発見されました。それ以後、人為的にアメジストを加熱してシトリンが作られるようになりました。この加熱による変色はエンハンスメント(改良)といわれ天然の宝石として一般的に認められています。
実際に天然のシトリンでさえもアメジストが地中に埋まっている際にマグマなどの熱が加わり黄色になったとされていますので、天然も人為的もそれほど差はないようです。
ちなみにシトリンは原子価が安定しているため色が褪せたりすることはありません。

現在流通しているシトリンの大部分がこの加熱によるアメジストだといわれています。すべてのアメジストが美しい黄色になるのではなく、産地や内包されている鉄イオンの状態にもより褐色や透明、稀に緑色を帯びた黄色に変色するそうです。




色の違いによる水晶の別名をご紹介します。
クォーツ
アメジスト
紫水晶
シトリン
黄水晶
アメトリン
アメシストとシトリンの色を併せ持つクオーツ
ロッククリスタル
無色透明な水晶
ローズクォーツ
紅水晶(ピンク色の水晶)
スモーキークォーツ
煙水晶(灰色から褐色系の水晶)
アベンチュリンクォーツ
微細結晶のインクルージョンを含む水晶
ストロベリークォーツ
ストロベリー色のクオーツ
ルチルクォーツ
針水晶 (内部に金色の針状物質が混入した水晶)
ルチレイテッドクォーツ
針水晶 (内部に赤色の針状物質が混入した水晶)
タイガースアイ
虎目石(シャトヤンシーを示す変種のクオーツ)


同じ石英グループで、水晶の仲間をご紹介します。

カルセドニー
石英の微細な結晶粒が緻密に集合した物を玉髄(カルセドニー)と言います。

ブルーカルセドニー
青色のカルセドニー
カーネリアン
朱色のカルセドニー
クリソプレーズ
アップルグリーン色のカルセドニー


メノウ
カルセドニー中で縞模様が顕著な場合は瑪瑙メノウ(アゲート)と言います。

メノウ
縞模様が現れている半透明ないし不透明のカルセドニー
ブルーレース
水色地にレースのような白い縞模様
モスアゲート
苔瑪瑙(コケのような内包物が見られる瑪瑙)
オニキス
平行な縞状模様の瑪瑙を指していましたが、
今では黒い瑪瑙を表す場合が多い。
サードニクス
赤褐色と白色からなる直線状の縞模様を示す瑪瑙



ジャスパー

不純物を多く含み、不透明なカルセドニーを碧玉(ジャスパー)と言います。

ジャスパー
完全に不透明なカルセドニー
ダルメシアンジャスパー
ダルメシアン模様のジャスパー
ブラッドストーン
血のような赤い斑点の有るジャスパー